鼠径ヘルニアの痛みはどんな痛み?危険な痛み【嵌頓(かんとん)】とは?

「足の付け根がふくらんで痛い」
「歩いたり重い物を持つと、足の付け根が痛くなる」 

鼠経ヘルニアは、両足の付け根の筋肉が弱くなった部分から内臓や脂肪などが皮膚の下に飛び出してきてしまう病気です。男性も女性も老人も赤ちゃんも……誰でも発症する可能性があり、時に痛みを伴います。

違和感しか痛みを感じないケースもあれば、人生で味わったことのないくらいの激痛を感じるケースもあり、その痛みは個人差があります。

本記事では鼠経ヘルニアの痛みの特徴を解説します。あわせて危険な痛み【嵌頓(かんとん)】についてと、治療方法も解説します。

鼠経ヘルニアと診断されたことがある方、足の付け根に違和感を覚えたり、痛んだりすることがある方、痛みはないけれど足の付け根がぽっこりとふくらむ方は、ぜひ本記事をお読みください。

鼠経ヘルニアの痛みはどんな痛み?

鼠径ヘルニアのふくらみが小さく脱出が軽度の場合は、痛みを感じることは少なく、鼠径部に違和感を覚える方が多い傾向があります。

しかし、鼠径ヘルニアが大きくなると周囲の組織に負担がかかるため、皮膚が突っ張るような痛みや歩くとチクチクと響くような痛みを感じます。

また、重度の鼠径ヘルニアになると、歩くことも難しいほど痛かったり、人生で経験したことがないくらい痛かったりすることも……。

 

痛む場所

鼠径ヘルニアで痛む場所は、おなかの下の方で足の付け根にあたる鼠径部(そけいぶ)で、
ふくらんでいる部分が痛くなります。

痛むタイミング

鼠径ヘルニアは、以下のようなタイミングで脱出し痛む可能性があります。

  • 立ち上がったとき
  • お腹に力をいれたとき
  • 重い物を持ったとき
  • 長時間立っていたとき
  • トイレでいきみすぎた
  • くしゃみや咳をしたとき
  • 肥満
  • 妊娠中

軽度の鼠径ヘルニアは、立ったり力を入れたタイミングで腸が脱出し痛みを生じます。横になっておなかの力を抜いたり、横になった状態で鼠経ヘルニアを手で軽く押すと元に戻り、痛みがやわらぎます。

しかし、横になって力を抜いてもヘルニアが戻らない【嵌頓(かんとん)】という状態になってしまうと、歩くこともままならないほど痛くなってしまいます。

強い痛みを感じる【嵌頓(かんとん)】については、次の項目で詳しく解説します。

鼠経ヘルニアの痛み【嵌頓(かんとん)】とは?

嵌頓(かんとん)とは、はまり込んでしまうという意味の言葉です。

鼠径ヘルニアの嵌頓とは、足の付け根の筋膜の弱った穴から出た腸や筋肉・皮下組織・皮下脂肪が、穴にはまり込んでしまい元に戻らなくなってしまった状態で、鼠径ヘルニアの合併症の一つです。

穴にはまり込んでしまうと、これまでに経験したことがないような我慢できない痛みが現れる以外に、次のような症状がおこりやすいです。

  • 便秘
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • お通じが出ない

血液の流れが悪くなって時間が経過すると、腸の組織が虚血になったり、壊死したりして緊急手術が必要になるだけでなく、最悪の場合命に関わるケースもあります。

鼠経ヘルニアの嵌頓の確率は約5%で、小さなお子さんから高齢者まで発症する可能性があります。

さらに80歳以上の方が嵌頓した場合は、20人に1人の割合で亡くなるという報告もある合併症なのです。

鼠経ヘルニアが痛いときの治療方法

ここからは鼠経ヘルニアが痛いときの治療方法を2つ紹介します。なお、嵌頓(かんとん)している場合と、嵌頓(かんとん)していない場合で治療方法が異なりますので、注意が必要です。

嵌頓(かんとん)している場合

鼠径ヘルニアを押しても元に戻らず嵌頓している可能性がある場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。

ヘルニア門から脱出した腸を元に戻してもらうことで、痛みが軽減するでしょう。

鼠径ヘルニアの嵌頓を治すには、医師が手でヘルニアを押して腸を戻す完納(かんのう)という方法と、緊急手術ではまり込んだ腸を元に戻す方法があります。

自分で力づくで押しても嵌頓が治らないだけでなく、腸を傷つけたり、痛みが強くなったりするため医療機関の受診をおすすめします。

嵌頓(かんとん)していない場合

鼠径ヘルニアを押すと元に戻るのに痛みを感じる場合は、ヘルニア門から飛び出した腸が周囲の皮膚や筋肉を圧迫している可能性があります。

鼠径ヘルニアは進行するにつれ、痛みが出やすくなる病気です。

次第に痛みが酷くなる可能性が高いため、早めに医療機関を受診してください。

鼠径ヘルニアに効く痛み止めはある?

鼠径ヘルニアの痛みには、アセトアミノフェンやロキソプロフェンナトリウムなどの、市販の痛み止めを服用しますが、効果が少ないことが多いです。

その理由は、鼠径ヘルニアの痛みの原因である腸の虚血や壊死は痛み止めでは治らないからです。

鼠径ヘルニアで痛みを感じる場合は、医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。

また、鼠径ヘルニアを放置するとさまざまな合併症を発症する危険性があります。
詳しくは、こちらの記事で解説していますので、ぜひお読みください。

鼠経ヘルニアが痛い、痛みが気になるときは筑波胃腸病院へ!

鼠経ヘルニアは、初めは自覚症状がないことがほとんどですが、進行すると痛みをともなう病気です。そして、嵌頓という激痛を伴う合併症を発症する危険もゼロではありません。

残念ですが、鼠経ヘルニアを治す薬はありません。
手術でしか完治しない病気で、手術をしないことでさまざまな合併症をおこすリスクがあります。

つくば市の筑波胃腸病院では、2泊3日の短い入院期間で手術を受けられます。週末に入院・手術することで仕事や学校への影響も最小限にできます。

つくば市や近隣地域で鼠経ヘルニアの手術を希望される方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。

鼠経ヘルニアの治療について、もっと知りたい方はこちらのページをご覧ください。

一般診療
8:45〜12:00 ×
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鈴木 隆二
鈴木 隆二監修 鈴木 隆二
筑波胃腸病院 理事長
経歴
  • 聖マリアンナ医科大学 卒業
  • 東京女子医大初期臨床研究センター 研修医
  • 東京女子医大消化器病 センター 外科 錬士
  • 東京女子医大大学病医学 研究科 博士課程修了
  • 東京女子医大消化器病 センター 外科 膵臓外科 助教
  • 医療法人筑三会筑波胃腸病院 理事長
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