日常生活でできる痔の予防
痔を予防するには、日頃からの習慣が大切です。正しいおしりのケアを習慣づけて痔の予防・痔の悪化を防ぎましょう。
腸内環境を整える
便秘や下痢の解消は、痔の予防には欠かせません。硬い便を強くいきむ便秘は肛門を傷つけ、下痢は肛門を刺激し細菌感染を引き起こします。腸内の悪玉菌が増えると便秘や下痢を招きます。悪玉菌より善玉菌優位の腸内環境にするためにも以下の点に気を付けてみましょう。
善玉菌を増やす食生活
納豆やヨーグルトなどは善玉菌そのもの、食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサとなります。これまでの食生活を見直して、腸内の善玉菌を増やす食事を意識してみましょう。
水分を多く摂取する
腸内の水分が不足すると便が硬くなり便秘を引き起こします。とくに、腸内の水分は腸壁からどんどん吸収されるため、水分不足を防ぐためにも1日だいたい2Lの水分摂取を心がけましょう。
適度な運動をする
ウォーキングやランニング・ストレッチなどの軽い運動も腸機能を活性化させます。
睡眠をしっかりととる
消化管の動きを活発にする副交感神経は、リラックスしているときに働きます。そのためにも、睡眠をしっかりとることは非常に大切です。
ストレスを溜めない
腸機能をコントロールしている自律神経は、精神的過度なストレスによって大きく乱れてしまいます。腸機能が低下すると便秘を引き起こします。そのためにも、ご自身に合ったストレス発散法・解消法を見つけましょう。
おしりは丁寧に拭いて清潔を保つ
排便後などは、おしりは丁寧に拭いて清潔を保ちましょう。便が残ったままにしないように、トイレットペーパーを押し当てるように優しく拭きます。便の質や年齢によっては、何回もおしりを拭かないと便が取れない場合があります。その場合は、温水洗浄機能などを利用して、おしりを温水で洗いましょう。水圧も強くし過ぎず、また洗い過ぎにも注意してください。
排便後のおしりの優しい洗い方
やさしく拭き取る
トイレットペーパーを肛門に押し当てて優しく便を拭き取りましょう。ゴシゴシと強く拭くことで、便を肛門の窪みやシワに擦り込んでしまいます。痔を悪化させてしまう場合があるので注意しましょう。
ぬるま湯で洗い流す
トイレの温水洗浄機能を使い、ぬるま湯で優しく洗い流します。温水洗浄機能がない場合は、お風呂のシャワーで洗い流しましょう。水圧を強くし過ぎないよう注意します。
しっかりと乾かす
温水で洗い流した後は、タオルで水分をしっかりと拭き取ります。タオルを押し当てるように優しく拭きます。
※温水洗浄便座症候群とは
日常的に温水洗洗浄便座を使用することで、温水洗浄便座でないと便を出せないという人が増えています。毎回温水洗浄便座を使用することで、おしりを洗いすぎて皮膚炎を起こしたり、温水洗浄機能を浣腸代わりに使用することで、次第に肛門への刺激がないと便が出にくい状態になってしまうことを温水洗浄便座症候群といます。したがって、温水洗浄便座の使用回数や使用方法は十分に注意しましょう。
生活改善のポイント
入浴は湯船にゆっくりと浸かる
湯船にゆっくりと浸かることで、肛門を清潔に保つだけではなく、肛門を温めることでうっ血が改善されます。入浴は、痔の予防法として非常に有効です。なるべく、シャワーで済ませないでぬるめの湯船にしっかりと浸かりましょう。
トイレは3~5分が目安
排便時間は3~5分を目安にして、なかなか便が出ないときは無理に出そうとせず、切り上げる習慣を付けましょう。残便感があっても、無理に出し切らなくて大丈夫です。排便は、便意のあるときに無理なく出しましょう。
朝のリズムが大切
朝食をしっかり摂って、便意が自然に起こるようにリズムを作りましょう。規則正しい食事と排便習慣を身に付けます。
無理なダイエットは禁物
食事量を極端に減らす過度なダイエットは禁物です。食事をしっかり摂らないと便量が増えません。便秘を引き起こしてしまうため、栄養バランスに注意して食物繊維をしっかりと摂るように心がけましょう。
長時間同じ姿勢を続けない
長時間立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢を続けることで、肛門がうっ血してしまいます。仕事などで同じ姿勢を強いられる場合は、ストレッチなど身体を動かすことが大切です。