鼠径ヘルニアの短期滞在外科手術

鼠径ヘルニアの手術

鼠径ヘルニアは手術でしか治すことの出来ない病気です。
足の付け根の鼡径部を切開しヘルニアの穴を閉じる鼡径部切開法や、腹腔鏡を使って鼡径ヘルニアの穴を閉じるTAPP法などヘルニアの穴の大きさや症状・年齢や性別にによって手術方法が異なります。くわしい鼠経ヘルニアの手術方法については、このページの後半で解説しています。

鼠経ヘルニアの手術の入院期間:短期滞在外科手術

鼠経ヘルニアの一般的な入院期間は1週間程度ですが、当院では2泊3日の短期滞在外科手術をおこなっています。
短期滞在外科手術は、入院期間が短いのが特徴で学校や仕事・家事や育児などの日常生活への影響を最小限にできます。また入院期間が短いと、入院費用などの自己負担額も抑えられ家計にも優しい手術方法として導入する医療機関が増えているのです。

また入院期間が短いと、手術の成功率や再発率が心配になるかもしれません。入院期間による手術の成功率や再発率には差が生じませんので、ご安心ください。

筑波胃腸病院の鼠経ヘルニアの短期滞在外科手術の流れ

筑波胃腸病院の鼠経ヘルニアの手術の流れをご紹介します。当院では医師・スタッフが、事前診察から術後のアフターフォローまで責任をもって誠実に対応します。何かありましたら、いつでも医師・スタッフにお声がけください。

STEP.01 手術前

鼠径ヘルニアの手術をご希望される場合、事前に診察を受けて頂きます。安全に手術が受けられるかどうかを調べ、手術方法のメリット・デメリットをご説明します。治療方法に関する疑問や不安な点は、診察の際に担当の医師にお気軽にご相談ください。診察のあとに専門のコーディネーターと面談し、手術のスケジュールを組ませていただきます。

STEP.02 手術前日

前日は指定の時間にご入院いただきます。手術の説明をおこない、準備をしていきます。

STEP.03 手術当日

手術当日は朝食は取らないようにしてください。手術の時間まで院内でゆっくりとおすごしください。朝の回診で医師が診察し体調を確認し、手術ができるか最終チェックをおこないます。問題がない場合、鼠経ヘルニアの手術をおこなっていきます。
手術後は2時間程度リカバリールームで観察し、問題がなければお部屋へ戻りゆっくりとお休みいただきます。

STEP.04 手術翌日

手術翌日は、医師の診察をうけていただきます。問題がない場合は、手術後の再診予約を取得し午前中に退院できます。術後は指示された日数、抗生剤の服用をしていただきます。

STEP.05 手術後

手術後は日常生活の制限はありません。痛みや違和感がなければ、普段通り過ごしていただけます。ただし、激しすぎる運動はお控えいただけるようお願いしています。 1週間後と1か月後に、傷口の状態を確認するための診察にご来院いただきます。
術後に痛みが強くなった、赤く腫れたなど違和感を覚えた場合には、診察の日まで我慢せず早めに当院へご連絡ください。

筑波胃腸病院で鼠径ヘルニアの手術をうけるメリット

筑波胃腸病院で鼠径ヘルニアの手術を受けるメリットは、次の4つです。

  1. 2泊3日の短期滞在外科手術で、手術翌日退院する事が可能です。日程に関しましてはご相談ください。
  2. 当院には、鼠径ヘルニアのTEP法の実績が豊富な医師が在籍しております。
  3. 担当医は茨城ヘルニア研究会代表・事務局であり、ヘルニア治療を専門とし数多くの経験をしてきております。
  4. 創部を最小限に抑え、患者様のお身体への負担を軽減するとともに、再発率を抑えることを考えた治療を心掛けております。

合併症や再発のおこりにくい鼠径ヘルニアの手術方法

鼠径ヘルニアは手術後に術後神経疼痛をきたしたり、感染症をおこしたり、再発してしまったりなど様々な合併症をおこす可能性があります。
当院では合併症や再発を『TEP法(腹腔鏡を用いた腹膜前到達法)』と『Direct Kugel法(前方到達法)』という専門性の高い鼠径ヘルニア手術を施行しております。

TEP法(腹腔鏡を用いた腹膜前到達法)

TEP(テップ)法は腹腔鏡を用いた鼠径ヘルニアの手術方法で、腹壁内(お腹の外側)で人工補強材(ポリプロピレン製メッシュ)を用いてヘルニアの穴を閉じる方法です。TEP法は“腹腔内”操作(内臓に触れてしまうお腹の中での操作)を必要とせず、“腹壁内”のみの操作で弱くなった部分を含む腹壁を広く補強できる術式です。
TEP法は以下に紹介するDirect Kugel法よりも手術時間はやや長いのですが、腸閉塞や臓器損傷といった腹腔内の合併症が非常に少なく、腹膜を開けないことから癒着の心配もなく、術後3か月までの疼痛が少なく回復も早いというメリットがあります。
TEP法でできる傷は3か所で、大きさは1~3㎝くらいです。

Direct Kugel法(前方到達法)

Direct Kugel法は人工補強材(ポリプロピレン製メッシュ)で穴の開いている部分を広く覆って補強することで、腸などが出てくるのを防ぐ手術方法です。さまざまなタイプの大人の鼠経ヘルニアの治療に適しています。
鼠径部に走行する腸骨鼠径神経・腸骨下腹神経・陰部大腿神経陰部枝など、鼠径部周囲の知覚神経を温存し術後神経疼痛をおこりにくくする手術方法です。また内鼡径ヘルニア・外鼡径ヘルニア・大腿ヘルニアが出てくる3つの穴を同時に覆うことで術後の再発を予防しております。Direct Kugel法でできる傷は1か所で、大きさは片側3~4cm程度です。

TAPP法(腹腔鏡を用いた腹腔内到達法)

TAPP(タップ)法は腹腔鏡を用いた鼠径ヘルニアの手術方法で、TEP法とはことなりお腹の中(腹腔内)で手術操作をおこないます。お腹の中に二酸化炭素を入れて膨らませてヘルニアの穴を確認し、カメラを挿入してモニターを見ながら人工補強材(ポリプロピレン製メッシュ)を用いてヘルニアの穴を閉じます。

お腹の中で手術操作をおこなうため周囲の腹膜や神経を傷つけたり、術後に腹膜の癒着を起したり、TEP法よりも術後の痛みが強くなったりするリスクが高いため、当院ではTAPP法での手術をおこなっていません。 なお、TAPP法でできる傷は3か所で、大きさは1~3㎝くらいです。

鼠経ヘルニアの手術費用

鼠径ヘルニアの手術費用は、保険診療が適応できます。自己負担額が3割の方が、2泊3日の鼠経ヘルニアの手術を受けた場合の手術費用の目安は以下のとおりです。

TEP法 11万円
Direct Kugel法 13万円

なお上記の手術費用に加えて、麻酔や薬・食事などの費用がかかります。自己負担額が高額になった時は、高額医療費制度を利用して自己負担を軽減する方法もあります。詳しくは当院受付までご相談ください。

参考資料

高額な医療費を払ったとき  全国健康保険協会 協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

また、マイナンバーカードをお持ちの方は、事前に保険証登録したマイナンバーカードでオンライン資格確認を利用すると、自動で高額療養費が適応され窓口でお支払いいただく医療費の自己負担が減額されます。従来とはことなり、ご自身で健康保険組合に高額医療費の申請をおこなう必要はありません。自己負担額が高額になりがちな鼠経ヘルニアの手術の際は、自動で医療費の自己負担額が減額されるだけでなく、お手続きも簡便になりますので、マイナンバーカードをお持ちの方は診察・手術の際にお会計窓口へご提示ください。

一般診療
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